作業服11

近年では、仕事のしやすさを考えた加工や機能が搭載された作業服が多くリリースされています。作業服をどのような用途で着用するのかを考えて、目的に適した製品を選ぶと職場での利便性はより高くなるでしょう。特に、作業服に使われている生地の種類は多いので、生地ごとの性質を理解してから選ぶのも大切です。

このコラムでは、職種に適した作業服の生地などについて紹介します。

通勤のときには作業服は着ないものなのか

作業着に使われる素材は綿とポリエステルが多い

市場に出ている作業服の多くがポリエステルと綿素材が使われています。綿素材は天然繊維独特の、柔らかな肌触りや風合いを持ち、吸水性が高いので汗をかく場所で着心地よく過ごせる傾向があるのが特徴です。加えて火が燃え移った場合でも、燃え広がる速度が遅いので火を多く使用する現場などでも着やすい素材でしょう。

ポリエステルは耐久性が高いので洗濯を繰り返しても型崩れしにくいほか、色落ちしにくく発色が良いため、職場の制服と言える作業服を長い期間綺麗な状態で着用できるのが特徴です。綿素材とポリエステルは特徴が異なる素材ですが、両素材の長所を活かすためにバランス良く混紡したテトロンコットン素材は、作業服の定番と言える生地のひとつと言えます。

中でも、ポリエステルが65%で綿素材が35%のテトロンコットン素材が代表的な混率です。作業服を選ぶ時には作業服に附属するラベルの組成表示を見て混率をチェックすると、どのような品質かが分かりやすくなるでしょう。

製造業や工場内作業に適している作業服の生地

製造や工場作業着として着用される作業服は、着やすさや動きやすさ、破れにくさなどが求められます。厚手の作業着は破れやシワに強く、着崩れしにくい製品も多いですが、一方で動きやすさには劣る傾向にあるでしょう。

このため、工場などでの屋内作業には、薄手でありながら耐久性に優れた生地を使った作業着が適していると言えます。加えて、生地に施されている加工にも着目し、職場で取り扱う製品の種類に適した素材を選ぶと生産効率も上がるでしょう。

例えば精密機械の扱いがあれば、ホコリやゴミの付着や静電気は避けなければなりません。冬の乾燥した環境では特に静電気が起きやすく、ホコリを寄せ付けやすくなります。静電帯電加工がされた生地が作業服に使用されているだけで、品質管理がしやすくなるでしょう。

ほかには、吸水性や速乾性に優れている生地かもチェックすると良いです。作業時に汗をかきやすい現場も多いので、吸水速乾性がある生地は汗を吸収しやすくすぐに乾くため、作業中の不快感を減らす効果があります。さらに、抗菌消臭加工がされた生地は汗のニオイを抑えるので、職場を清潔感ある環境にするでしょう。

電気工事などで使われる作業服に適した生地

電気工事や電気設備工事で着用される作業服は、高所で腕を大きく動かすケースも多いため、丈夫な生地を使用しつつ大きな動作がしやすい製品を選択するべきです。特に屋外での高所作業時には直射日光を浴びながらの作業になるケースも多く、熱を逃す通気性の高い生地が使用されている作業服で作業員の健康状態を安全に保つ必要があるでしょう。

夏季の暑さを念頭に、接触冷感加工がされた生地の作業服を採用する現場も多く、清涼感を感じることで作業に集中しやすくなる効果を得ています。接触冷感加工は水分と結合すると熱の吸収が起きるキシリトールを使った、清涼感を感じる加工です。

吸熱反応は汗でも起きるので、生地に触れている肌から熱が奪われ冷たく感じるのが大きな特徴です。電気の取り扱いがある職場ですので、高い制電性のある生地が使われた作業服も求められます。産業製品規格を定めた国家規格のJIS規格に対応した帯電防止作業服が適しているでしょう。

建設現場で求められる作業服の生地

建設現場で使用される作業服は、通気性や耐久性に優れた生地が使われた作業服が適しています。建設作業は汗をかきやすく作業服が汚れやすい傾向にあるので、洗濯に強い形態安定性の高い生地を選ぶと良いでしょう。何回洗濯してもシワやヨレに強くて型崩れしにくく、生地へ施されているさまざまな加工が落ちにくい製品が人気です。

加えて、ビルなどの建設現場では溶接が行われるケースも多く、火の粉によって作業服が燃えたり穴が空いたりしにくい素材も求められます。この場合、耐火性のある綿素材の生地が向いていますし、汗をかいても不快になりにくいのがメリットです。

冬の屋外で高所作業するなど、建設現場では防寒機能のある作業服も求められます。例えばアルミキルトと呼ばれる生地は、体温を逃がさない蓄熱保温の加工がされていて、冬でも快適に作業できるのが特徴です。アルミシートを使って冷気を作業服の内部に侵入させない一方で通気性に欠けるので、水蒸気のみを逃がす透湿性が搭載された作業服を選ぶと汗によって蒸れるデメリットを解消できるでしょう。

冬季オリンピックでスキー競技の公式ウェアに使われた防寒素材を搭載した作業服も冬季の屋外作業に強いです。マイクロファイバー繊維を使用した生地によって空気を多量に取り込み、空気でできた層が冷気を作業服の内部へ侵入するのを防ぎます。

加えて、速乾性が高く汗をかいても快適に過ごせるほか、薄手の生地で軽量のため動きやすいメリットがある高機能素材ですので、建設現場の防寒作業服に適した生地と言えるでしょう。

綿やポリエステル以外にも優れた素材がある

綿素材やポリエステル以外にも作業服によく使用される生地があります。例えば、着やすさや動きやすさを重視するならポリウレタンが使われた生地が向いているでしょう。プラスチック素材で伸縮する性質を持っていて、ゴムより耐久性があります。

しかし、温度や湿度の変化に弱いので劣化の速度がやや早いのがデメリットです。弱点を補うために、作業服に使用される時は綿などと混ぜて作られた生地が使用されます。綿素材に数%のポリエステルが使われている素材は、肌触りや通気性が良くストレッチ性がある生地だと判断しましょう。

夏の作業服に綿素材以外でよく使われるのは麻です。通気性の良さや綿素材の4倍程度あるとされる吸水性が高温多湿の夏場に適していますが、シワになりやすい特徴もあります。

生地によって作業服の機能は異なる

作業服に使われる生地は数多くありますが、生地ごとに作業服の持つ機能や特徴が異なります。職種や季節によって適した機能があるので、作業服選びの際は、どんな目的と用途で着用するのかを明確にしておきましょう。素材だけでなく生地に施されたさまざまな加工も確認すると、より高度な機能が搭載された作業服を購入できます。